デザインを表現する仕事は数学などと違って、必ずしも割り切れません。
私が「赤がいい」と思っていても、ある人は「青がいい」と思うかもしれません。
そして私が「青はおかしい」と言い切れないのがデザインの世界です。
なぜならお互いの物の見方で判断しているからです。
私はデザインは芸術とは違うと考えています。
それは、芸術は平たく言うと自己満足の世界です。
自分自身が満足するまで徹底的に美を追求します。
そしてその作品に価値または共感する者が対価を払って商談が成立します。
一方、 デザインの世界では、お客様に満足していただかなければなりません。
難しいのはここからです。
では、 ただ満足していただければ良いのかと言うとそうではないのです。
私は「デザインのプロ」と言う立場で生きています。
たとえば、 「ポスターA」のデザインをしていてお客様は納得していません。
私は自分がいいと思ってデザインしました。
ここで自分がいいと思ったからと言って自分の意見を押し通すことはしません。
なぜならお客様があってのデザインだからです。
そこで私は違った角度からその「あるもの」の提案をしてみます。
お客様もそれならいいだろうと納得してくれます。
こうしてお互いの感覚を近づけて「ポスターA」が完成していきます。
この完成した「ポスターA」の社会的評価はどうでしょうか?
お客様が意図していた通りにいったでしょうか?
私が言いたかったこと、それはデザインはさまざまなパーツの組み合わせ
(デザイナー・お客様・完成したもの・社会的評価または効果)などが
うまく組み合わされなければいけないということです。
デザイナーにとって、 お客様の評価を優先するか、完成したものの評価を優先するか、
日々葛藤しながら私はデザインをしています。
そして最後にもう一つ大切なこと、それは人間関係だと思います。
信頼関係がなければいい仕事は出来ないと考えています。
その人間関係も「ご縁」がなければ生まれません。
だから私はまず「ご縁」を大切にします。
少しオーバーな表現ですが、 人間の一生の中で出会える人の数は人口で比較するとほんの一握りにすぎません。
だからこそ「ご縁」が大切なのだと考えています。
最後に、 キャリアと実力は必ずしも一致しませんが、
求めるもの、 求められるものが一致する出会いが必ずあると思っています。